社会福祉学科では、何らかの生活上の困難を抱える人々に対して、社会福祉の面からサポートするスペシャリストを育てています。また、大学における学びが、人々の「ふだんのくらしのしあわせ」(ふくし)を支えていることを理解するとともに、実際に社会福祉を必要とする人々に関わりながら、どのような支援が必要なのかを考えることができる実践的な学びを提供しています。
その一環として、2014年から行っているのがうきは市の学習・生活支援事業へのボランティア参加です。
学習・生活支援事業では、生活困窮者自立支援事業に基づき、子どもたちの居場所をつくり、学習の機会を増やす事で将来子どもたちの自立を促す目的でうきは市社会福祉協議会が主体となって、小中学生に勉強を教える会を開催しています。ボランティアを募集するにあたって求められたのは、勉強を教えるスキルだけでなく、子どもたちが生活している環境や進路について理解できる、また、自立に向けたモデルケースになる人材。すなわち「社会福祉を学んでいる人」が求められたため、社会福祉学科に要請があり、有志の学生によるボランティアが始まりました。
将来的にソーシャルワーカーや教員として子どもに寄り添いたいといった考えから、「今の自分でも役立つことがあるなら協力したい」と毎年多くの学生が参加しています。
子どもたちにとって、学生たちは身近なお兄さん、お姉さんのような存在。勉強を教えるほかにも、高校進学後の夢や目標を持てるようなサポートも行っています。大学進学をイメージできなかった子どもが、活動の中で大学生から大学生活について聞き、大学の学園祭の参加・見学などを経験する事で、「高校を卒業したら大学に行きたい」と目標を持つことも出てきました。
こうした活動を通して、学生たちは自分たちの言動が子どもたちにどのような影響を与えるのかを自覚しながら、責任感、自立心を育んでいきます。
子どもたちの生まれ育った環境や性格・考えなどはさまざまなので、ときにはスムーズに勉強が進まないことも。また、子どもたちが生活をする中で起きる様々な出来事を大学生に相談する事もあります。
そのような事態が発生した時に大学生が抱え込まないように、月に1回の定例ミーティングで、他の学生ボランティアや社会福祉協議会のメンバーと話し合い、解決を図っていきます。
また、参加を希望する大学生ボランティアを対象に、社会福祉協議会による事前研修を実施。参加している子どもたちとの関わり方や実際に活動に出てくる問題点を共有しています。事前に学習しておく事で安心してボランティア活動に取り組む環境作りも行ってるのです。
学習・生活支援の成果はめざましく、高校に進学することを希望していた中学生たちが毎年全員合格しています。
学生たちにとって学習支援のボランティアは、大学での学びが社会にどのように役立っているのか、自分にはいま何が足りていないのかを実践的に学ぶ機会です。これまでの参加者の中には何年も継続して参加している学生や、自身の地元で同様の活動を始めた学生、ボランティア活動をきっかけに社会福祉協議会に興味を持ち就職した学生もいます。
うきは市社会福祉協議会の担当である権藤俊介氏からは、
「当事業開始時より、身近な成長モデルである大学生にスポットを当て、ここまでの活動に多く尽力いただいた事で、多くの子ども達が支えられてきました。多くのモデルケースが誕生し、就職だけでなく、大学・高専・専門学校等に進学をし、『次は私たちが支えたい』と思いを持って動いてくれている子どもたちも出てきました。継続をしてきた結果が今、目の前に表れています。今後もこの活動に理解を示し、積極的に協力頂ける大学及び大学生は不可欠であり、これからも多くの力が必要となります。今後も久留米大学と未来ある子どもたちを支えていく活動を共に進めていきたいです。」と久留米大学の学生に対する期待と今後への力強い後押しもいただいています。
社会福祉学科では、福祉の専門知識のほか、医療、心理、社会学、福祉に関する法制度等、他の領域もバランスよく学びながら、学外の実践的な活動を通して、福祉のプロフェッショナルの知識を目指します。4年次には多くの学生が社会福祉士、精神保健福祉士等の国家資格を取得し、卒業後は福祉職、公務員等、それぞれの道に進んでいます。
【参考】
https://www.kurume-u.ac.jp/site/b-dsw/fukushi-blog.html
上原 紀美子
社会福祉学科 教授
博士(社会福祉学)、修士(法律学)
社会福祉士、ファイナンシャルプランナー、ビジネス法務エキスパート
専門分野:社会保障法、社会福祉学 私達一人ひとりが「健康で豊かな生きがいのある人生」を実現するために何が必要か、社会保障、社会福祉の枠組みから分析しています。近年は「子どもの貧困調査」、「労働問題」等をテーマとした行政、社協等との共同研究も活発に行っています。
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